冬のドライブに欠かせないスタッドレスタイヤ。今ほどもテレビのニュースでスキーウエアの男性が走行不能に陥っている様子が映し出されていました。さほども雪のない前輪付近をスコップで掻いていました。路面が凍っていたようです。
「千葉から家族でスキーに来たんですが、ホテルを出るときも動けなくなって、皆さんに押してもらったんです。スタッドレスタイヤを履いてきたんで大丈夫だと思ったんですが…」
車内には子供の顔も見えていました。楽しいはずの家族のイベントも、用意が悪いと後味の悪いものになってしまいますよね。
降雪の機会の少ない千葉県からなら、車は前輪駆動車(FF)かもしれません。4輪駆動(4WD)でスタッドレスタイヤなら大概は大丈夫なのですが、前輪のみの駆動ではタイヤが空回りして、動けなくなってしまうのです。タイヤチェーンの用意があれば、対応できた場面です。
さて、雪国では毎年かならず用意が必要なスタッドレスタイヤですが、かつては自宅で保管して、タイヤ交換ぐらいは自分で対応していたものですが、近頃は保管も交換もプロにおまかせする人が多くなっているようです。私自身は今のところ、まだ自分で行っています。
スタッドレスタイヤの耐用年数ですが、日々の仕事でも走行の機会の多い私の場合は、2シーズンか、長くもって3シーズンで更新が必要になります。稼働する機会の少ない車なら、5年は使用できると思います。
自家用車を維持するというのは何かと費用を要するものですが、タイヤの更新もまた定期的に大きな出費を生みます。消耗品ですし、安全にも直結するので、辛抱して使い続けるというわけにはいきません。
しかし、購入するとなると、
- 「初期費用が高い…」
- 「一括で支払うのはキツイ…」
- 「タイヤの交換やメンテナンスが面倒…」
- 「保管場所がない…」
など、悩みは尽きません。
とくに、転勤などで雪国へ引っ越すことになったという人の場合は、スタッドレスタイヤの準備に慣れていない分、色々悩むところも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、タイヤの新しい利用方法として注目されている「サブスクリプションサービス」も含めて、スタッドレスタイヤの賢い調達方法について調査してみました。
スタッドレスタイヤ調達の3つの選択肢

スタッドレスタイヤを調達する方法としては、主に以下の3つがあります。
- 一括購入: タイヤ販売店やネット通販で、4本セットを一括で購入。
- 分割払い: クレジットカードの分割払い、またはカー用品店などのローンで購入。
- サブスクリプションサービス: 月々定額料金で、タイヤを利用(交換・メンテナンス込み)。
上記以外に中古タイヤを購入する選択肢もありますが、今回は未使用品を購入する前提で比較検討してみたいと思います。
購入方法の比較
まずそれぞれの購入方法の特徴をお示しします。
〈一括購入〉
- 初期費用:高い。
- 月々の支払い:なし。
- 総費用:購入先が自由に選択できて、セール品などの購入で割安になる可能性あり。
- 手間:タイヤ選び、購入、交換、保管、メンテナンスなどは自分で行うか、対応するサービスを個別に利用する。
- メリット:タイヤ&ホイールの選択や、任意のメンテナンスサービスの利用など、自由度が高い。
- デメリット:初期費用が高い。タイヤの選択やメンテナンス、保管など、自由度が高い分、自分で管理する煩わしさがある。
〈分割払い〉
- 初期費用:比較的安い。
- 月々の支払い:あり(金利手数料含む)。
- 総費用:金利手数料の分、一括購入より高くなる。
- 手間:基本的には一括払いと変わらないが、ローン契約の手間が加わる。
- メリット:初期費用を抑えて購入できる。一括払いと同様に自由度が高い。
- デメリット:自由度が高い分、自分で管理する煩わしさがある。
〈サブスクリプション〉
- 初期費用:安い(または無料)。
- 月々の支払い:あり(定額)。
- 総費用:利用形態で割高になる可能性あり。
- 手間:タイヤ選び、交換、メンテナンスはサービスに含まれる(プランによる)。
- メリット:初期費用が不要。月々の定額制で予算管理しやすい。メンテナンス込みでパンク修理は全国対応。
- デメリット:契約期間の縛りがあり、総額で割高になる場合がある。タイヤの選択肢が限られ、ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤは別契約。メンテナンスは契約店舗のみで対応。
タイヤのサブスクリプションサービスについて
日本では、一般ユーザー向けのタイヤ・サブスクリプションはまだ多くありません。「ミシュラン・タイヤケア」や「住友ゴム・エコスマートプラン」などが知られていますが、主に事業者向けで、現状ではブリヂストンの「Mobox」一択です。
Moboxの概要
Moboxは、ブリヂストンのタイヤを月々定額で利用できるサービスです。
仕組み
- 全国のブリヂストン系列店(タイヤ館、コクピットなど)で利用可能。
- 契約期間は2年または3年。
- 契約満了後はタイヤが自分のものになる。
- 料金はタイヤの種類、サイズ、プランで異なる。
- プランは「スタンダード」と「ライト」の2種類。
- スタンダード: タイヤ交換、ローテーション、パンク修理、窒素ガス充填など込み。
- ライト: パンク補償がメイン。
メリット:
- 初期費用なし。
- 定額制で予算管理がしやすい。
- メンテナンス込み(パンク補償も)。
- 全国のブリヂストン系列店で利用可能。
デメリット:
- 契約期間の縛り(途中解約は残金一括払い)。
- ブリヂストン製タイヤ限定。
- ノーマル / スタッドレスは別契約。
- メンテナンスは契約店舗のみ(パンク補償は全国対応)。
注意点:
- 契約期間内で摩耗が顕著な場合のタイヤ交換は追加費用。
- タイヤの製造年週は指定不可。
- オンライン専用商品は在庫切れの場合がある。
【シミュレーション】結局どれがお得?

Mobox におけるタイヤのサブスクリプションについて調べてみると、結局のところ従来の「クレジット分割払い」と大差ないことが判ってきます。
2年もしくは3年の契約期間が定められ、契約満了後のタイヤ&ホイールは利用者に譲渡されますが、途中で解約する場合は残りの期間分を一括払いする必要があります。まさにクレジット分割払いと同様な印象です。
一般的にサブスクリプションサービスというのは、必要な時に必要なだけを利用して、不要になれば退会できる気軽さが魅力なのですが、Moboxの場合、最終的には普通にタイヤを購入するのと同等な費用を支払います。
また、例えば「転勤」で利用を検討する方などは多いと思いますが、2年ないし3年の期間縛りがあって、パンク以外のメンテナンスは契約店のみでしか対応しないということになると、おそらくは利用を躊躇するのではないでしょうか。思いがけず短い期間で転勤になっても、系列店で引き継いでもらえれば安心して利用できるのですが、そういう点では、まだ発展途上のサービスなのかもしれません。
ただし、煩わしいタイヤの交換や、パンクなどのトラブル対応がサービス内に含まれている点は大きなメリットです。また、置き場所に困るタイヤの保管を、選択的にサービスに付加できるのも良い点です。とはいえ「はたしてサブスクリプションサービスはお得なの?」というのが気になるところ…
そこで以下では、雪国にも店舗の多い「オートバックス」を比較対象として、同等なタイヤセットをクレジット分割払いで購入し、オートバックスが提供する整備関連の付帯サービスを利用した場合の費用を見ていきたいと思います。
ただし、購入品目やサービスの内容は全く同一にはできないため、異なる部分は適宜表記します。おおむね同等の使用環境を再現して比較を試みますので、参考事例として御覧ください。
オートバックス分割払い購入との比較
今回は対象車種を2024年に最も販売台数の多かった「トヨタ・カローラ」に設定してみました。以下はオートバックスでタイヤを購入し、Moboxに近い整備関連サービスを付加した場合に要する費用の詳細な内訳です。
【タイヤ+アルミホイール】×4本(※2025年3末までのセール対象品)
・ブリヂストン ブリザック VRX2 195/65R15 91Q(2022年製)
・エクシーダー E07 1560+43 5H100 ダークシルバー
ネット販売価格
¥ 92,400 (税込)
【ホイールナット】
FIXED袋ナット M12×1.5 20個入り メッキ
¥ 3,080
商品合計:¥95,480 (税込)
【取付組込工賃】
タイヤ・ホイール取付組込工賃
¥ 6,160 / 4本
※上記工賃には脱着、組み込み、バランス調整が含まれます。
タイヤ装着費の合計:¥101,640 (税込)
【その他の費用】
・JCBカード ショッピング分割払いのシミュレーション
支払い元金(合計) 101,640円
支払い手数料(合計) 16,444円(利率15%)
支払い合計金額 118,084円(内手数料 16,444円)
・あんしんタイヤ補償(18ヶ月間)
タイヤ価格8万円超
補償限度額:5万円
補償料金:14,999円
・オートバックスのタイヤ保管サービス
※1シーズン(12ヶ月)の保管料
13インチ~15インチ:¥12,960~ 履替交換2回無料
| オートバックスの構成 | オートバックス | Mobox (スタンダードプラン 2年契約の場合) |
|---|---|---|
| タイヤ:ブリヂストン ブリザック VRX2 195/65R15 91Q(※2022年製) ホイール(+ ナット):エクシーダー E07 1560+43 5H100 | 95,480円 | ※タイヤは左に同じ。ホイールはブリジストン純正アルミホイール |
| 取付組込工賃 | 6,160円 | – |
| 分割払い手数料 JCBカード 24回割払い | 16,444円 | – |
| タイヤ保証 補償限度額:5万円(18ヶ月間) | 14,999円 | ※契約期間内保証あり |
| タイヤ預かり 2シーズン(履替交換 4回無料) | 25,920円 | ※任意付加 |
| 支払額 | 159,003円 | 239,712円 |
比較結果
費用を比較してみると、総支払額は通常購入のほうが安く抑えられています。この差分は、例えばパンク等の保証が Mobox では契約期間全体(2年契約なら24ヶ月)がカバーされているのに対して、オートバックスの場合は最大18ヶ月となっているなど、前提となるサービスの量的な違いもあります。
また、タイヤは同じ製品(VRX2 195/65R15 91Q)ですが、オートバックスのものは2022製です。タイヤの価格は年式が落ちると大きく値引きされるので、本例のものも、おそらくそうした値引き品だと思われます。とはいえ Mobox においても年式の指定は出来ないようですし、通常購入の「値引き品を見つけられる可能性がある」というのは通常購入のメリットです。
さらに、比較事例ではアルミホイールが異なります。Mobox の場合はブリジストンの純正アルミホイールですが、一般に有名メーカーの純正品というのは価格が高めで値引きされにくい傾向があります。オートバックスのものはメーカーも価格帯も色々な中から、廉価なセット品を選んでいますが、デザインや機能性にこだわりの強い方の場合は、もっと費用を要することになると思います。
まとめ

スタッドレスタイヤの調達方法として、新規のサービスである「タイヤのサブスクリプション」を念頭に比較検討してみました。
当然ながら、支払総額でいちばん費用が掛からないのは一括購入です。時期によってはセール品を廉価で購入できたりする自由度もあります。クレジット分割払いも、初期費用が抑えられるメリットと、分割払い手数料が掛かるデメリット以外は、一括購入と同じです。
ただし、整備、点検、パンク保証などの付帯サービスをそれぞれ検討しながら利用するのには、自動車のメカニカルな部分や整備に関するある程度の知識や経験が必要ですし、そうした方面に関心が薄いドライバーにとっては煩わしい作業になると思います。
その点で、タイヤの組み込みや履き替え、点検、保証などが予めパッケージになっている Mobox のようなサービスは、車を維持管理する面倒を省いてくれるという点で価値があります。
さて、今回の比較検討の結論ですが、費用を抑制するためなら手間は惜しまないという方には通常購入がおすすめです。ネットショップや最寄りの実店舗を巡って、ご自分の車に適合するセール品などを見つけられると、かなり費用が節約できると思います。
ただし、雪道や氷結路面での制動性能に関しては、タイヤはいざという場面での命運を分ける重要なパーツですので、ご自身が納得できる製品を選んでください。
そして、タイヤのサブスクリプションサービスですが、こちらは自身の手間は極力はぶいて安全な運行体制を確保したいドライバー向けのサービスだと思います。消耗品であるタイヤの運用をプロの整備士に委託し、急なパンクの修理や保証もパッケージングされていて、さらに保管サービスも付加できます。そのぶん費用は要しますが、手間への対価だと考えれば妥当なサービスだと思われます。
いかがでしたか?スタッドレスタイヤの調達方法に迷っているあなたの疑問に応えることはできたでしょうか。是非あなたのニーズに合う方法で、安全性能の高いスタッドレスタイヤを入手して、冬のドライブを安全に楽しんでください。
追伸
記事の冒頭でも触れましたが、雪国での車の運転にむけて、スタッドレスタイヤの準備は誰もが気に掛けるところですが、車の駆動方式については油断しているドライバーが多く、トラブルの原因となっています。
何のことかというと、FF(前輪駆動)の車では、いくらスタッドレスタイヤを履いていたとしても、ゆるい坂道さえも登れない状況が生じます。滑りやすい雪道では、前輪のグリップ力だけでは車を推進させる力を十分に路面に伝えることができません。
このところ毎年のように降雪による数十キロに及ぶ渋滞、立ち往生が発生していますが、起点となるのは決まってそうした車です。駆動方式の脆弱な車の場合は、タイヤチェーンの備えが必須です。
降雪地域で日常的に雪道を走行するのであれば、4WD仕様の車でないと頻繁に不自由を味わうことになります。雪国の会社なら社用車などは4WDを採用していると思いますが、駆動方式によっても備えが異なる点には、くれぐれもご留意ください。

